いつも自分のそばに辛いことがあるあなたも
いつも自分のそばに良いことがあるあなたも

こんにちは。
ヒックエトヌンク 吉野です。

今読んでいる、オステオパシーの本の中で
こんな言葉に出会いました。

身体の良い部分は動いたり必要な働きをしていて
あたりまえに存在しているので平坦でわかりにくいもの。

その中で歪みや不調を起こしているものは
痛みやわかりやすい症状として身体の外側に出ているからわかりやすいもの。

いつも日々を生きていることも
それだけでもすごいことなのですが

「良いこと」とはなかなか気づかないものです。

オステオパシーの世界に入ってから
たくさんの身体の悩みのある方と出会って来ました。

身体の悩みって、本当に本当に辛いものです。

どんな症状であっても、
外からの人が見たら軽く思われてしまう場合もあるけれど

実際その悩みを抱えている本人にしか
わからないものがあります。

身体の悩みが続けば続くほど
この痛みや不調はなくなることがあるのだろうか・・・と

不信になることことも多くなったり
身体の状態で、毎日の過ごし方も変わっていきます。

それは、気まぐれとかそういうものではなくて、
実際に症状を抱えている方にしかわからないものです。

その症状を受け入れていくのも
向き合っていくのも大変なもので

自分以外の人に何か言われたからといって
それが心地よいものへ変化するのものでもないと思うのです。

今年の1月に私はくも膜下出血で倒れてしまいました。
くも膜下出血は脳にできた動脈瘤が破裂してしまう病気です。

10年とういう長い時間をかけて、少しずつ大きくなっていた動脈瘤が
5ミリ以上大きくなると破裂すると言われています。

前兆もなく突然発症するくも膜下出血は
3分の1は亡くなり、3分の1は後遺症が残り、
社会復帰ができるのは3分の1と言われています。

私は運ばれたタイミングや
奇跡的に良い先生に手術を受けたり

出血の場所や
復帰を願ってくれた人達や
看護師さんやリハビリの先生や

いくつもの良い状態が重なり
思ったよりも、ずっと早く社会復帰ができました。

でも、それまでには入院中は朝・昼・夕と
リハビリに取り組んだり、
退院した後もまたリハビリに励みました。

身体の症状や後遺症があるないに関わらず
原因もよくわからないまま、
突然の出来事を受け入れることも難しいことです。

ゆっくりとゆっくりと時間をかけて
自分に起こったことを受け入れながら

その不調や痛みとやり取りをしながら
良い方向に持っていく力が

自分自身の中にあることんだなあと
今回の出来事で痛いくらいに感じたことです。

施術を再開して3ヶ月が経ち
こうやって今だいぶ体調も落ち着いてきて

その中で感じた「治癒力」について
今日は書いてみたいと思います。

自分の経験を通して出会った
大切なことをここに書いておこうという気持ちです。

今回、私が手術の後のリハビリや
退院後の生活の中で

繰り返している日々の中で
急に症状が良くなるという経験をしました。

手術後の記憶は2週間ぐらいはほとんど残ってないのだけど
意識が戻った時にしたことは
まずは手と足を動かしてみることでした。

「ああ、動いてる」と動いた感覚があったことで
ほっとしたことは覚えています。

当たり前に動いていた手足が動くことに
救われたことは忘れませんし

自分が生きていたんだという
感覚はなんとも不思議なものでした。

ただその場所に存在している自分が
看護士さんのケアを受けながら点滴や管だらけでも

自分の身体に全てを委ねているという
味わったことのないことでした。

どこにいるのかもよくわからないけれど、
生きて息を吸ったり吐いたり
看護師さんと少し言葉を交わしたり

あとはただひたすら眠るICUでの2週間でしたが

この間に身体は安静を保ちながらも
身体の構造は整い始め
必要な機能を始めているんですよね。

医療の力で救われた命は
医療の力を身体に入れ込みながら
自分の力で機能をしようとしていく。

そんな毎日だったのだと思います。

肺に入れた酸素を外してから
しばらく続いていた咳や肺の痛みも次第になくなり

頭蓋骨の縫い傷も
痛み止めやアイスノンがなくても
次第によくなっていく。

2週間寝たままで落ちてしまった筋肉も
失ってしまったバランス感覚も

毎日のリハビリで次第に
歩くことの怖さが薄れていき

中心も感じられるようになっていき
左足も付きやすく、運びやすくなっていく。

初めは開頭手術をした左側の目が
滲んで良く見えず、

それが光の加減なのか、圧なのかわからないけど
倒れる前と目の見え方が変わってしまいました。

入院中に検査はしたものの、
後遺症などではなく、原因はよくわからないまま。

退院してからも
部屋の明かりも明るさがないと生活がしずらいし
夕方から外に出ることは出来ない状態でした。

このまま治るのかどうかもわからず
でも、できることは目を休めることしかないかなと
なるべく夜は目を休めるようにしていました。

目や頭を少し使うだけ消耗も大きく
22時には消灯するように心がけたり。

そんなことを繰り返すうちに
気が付くと目の見え方が変わり
以前と変わらずに目が見えるようになりました。

階段の登り降りや
道の段差に気がつけずによろけてしまう状態も

入院中から続いていためまいも
ある日、症状がなくなり

脳が覚醒したような
一気に身体が開くような感覚がありました。

ああ、自分の中でこうやって
わかっているようでわからない治癒力が
直してくれているんだなあと。

私が思っているよりも
治癒の力は働き続けているし

自分の期待よりも大きなものが
治癒力にはあるなあと感じました。

目に見えてわかるものではないものを信じる力は
自分の中にあっても難しいことかもしれません。

でも、その力があることを知る経験をしたことで

クライアントさんと一緒に
その治癒力を見つけられるような
施術者でありたいなと思っています。

私もまだ回復途中ではありますが

ここを超えていくのは
どんな病気でも症状でも一緒だと思うんです。

今も生きていることが不思議な部分も多々ありますし、
以前のように1つ1つのことを急ぐこともできません。

でも、ゆっくりとスローペースで行うことも
それは今の私らしくて良いかなと思っています。

大きな病気や後遺症や
なかなか治らない症状も

治癒力はいつも動いているし
身体は全身全霊で生きようとする。

全ての細胞がよしとなると
全細胞が一斉に動かそうとする。

治癒力と生命力は
どちらも手を取り合って
生きているのだなあと感じる日々です。

いつも日々を生きていることも
それだけでもすごいことなのですが

「良いこと」とはなかなか気づかないものです。

この病気を通して、
「良いこと」に気がつけたことは

オステオパシーの施術にも
大きく影響を与える大切なことです。

クライアントさんの治癒力と生命力は
どちらも手を取り合って生きていることを。

ゆっくりとゆっくりと時間をかけて
回復に向かっていることを。

ずっとずっと忘れないように。

ではでは、今日はこの辺で。
ありがとうございました。