クラニオセイクラルオステオパシーについて 【Cranial osteopathy、頭蓋仙骨オステオパシー】

クラニオセイクラルオステオパシーは1874年にアメリカの医師「アンドリュー・テイラー・スティル博士」に創始されたオステオパシーの哲学に従い、頭蓋の解剖学と生理学を含む、繊細で洗練されたアプローチです。

スティル博士の生徒であった「ウィリアム・ガーナ―・サザーランド博士」は頭蓋骨に興味を持ちました。頭蓋骨の蝶鱗縫合という部分が魚の鰓のようであり、そこから呼吸のメカニズムの関節の可動性を示唆していました。

そこから30年をかけて、サザーランド博士は頭蓋骨の研究、調査、そして自分自身の頭蓋骨で多くの実践をし、診断と治療への道を開きました。1939年に頭蓋領域の概念は1冊の本を通して公開されました。

脳にも身体と同じように独自のリズミカルな動きがあり、髄膜内の脳周囲の脳脊髄液(CSF)にも動きがあります。
脳細胞はすべての細胞が栄養と酸素を受け取ることができるように脳脊髄液を吸収し、また循環しています。

クラニオセイクラルオステオパシーは、オステオパシーの哲学に添いながら、多くのオステオパスによって大切に育まれてきたものです。
サザーランド博士は頭蓋骨のメカニズムに添い、動きを改善していくアプローチから、やがてクライアントが持つ、生命力にアプローチをするようになります。

1950年ハロルド・アイヴス・マグーン博士によって「頭蓋領域のオステオパシー」という本が出されサザーランド博士の手技が公開されました。サザーランド博士が亡くなった後、ローリン・ベッカー博士によりその研究は引き継がれていきました。

クラニオセイクラルセラピーとの違い

一般的に施術が行われている「クラニオセイクラルセラピー」は、アメリカのDr.ジョン・E・アプレジャーD.O.により始められた療法で、頭蓋領域のオステオパシーから派生しています。
「クラニオセイクラルセラピー」はオステオパシーを学ばれていない方も行うことができる「セラピー」であり軽いタッチで行われます。

一方、クラニオセイクラルオステオパシーは、23個の骨、100の縫合により統合されている頭蓋骨をオステオパスは触診により動きを捉え、柔軟性としなやかさを取り戻すように必要な手技を施していきます。

頭蓋仙骨のシステムの障害が、身体の別の部分に影響を与えることもあり、その逆に身体の状態が頭蓋仙骨に影響を与えることもあります。
その為にクラニオセイクラルオステオパシーは頭蓋仙骨を施術の対象とせずに、全身とのつながりを観察しながら全体から頭蓋へと施術を行なっていきます。